生物の老化時計を制御する遺伝子
長寿の人たちには、ある共通の遺伝子が働いていることが明らかになっています。それがいわゆる「長寿遺伝子」と言われるものです。
現在ではいくつかの遺伝子が寿命の決定や、老化、あるいは老人病の発症に関わっていることがわかってきています。
長寿遺伝子は長生きをしている人だけが持っている特別な遺伝子ではなく、実は誰もが持っているものです。けれども、その遺伝子が働いているかどうかで、老化の速度が変ってくるのです。
人間をはじめとする哺乳類の老化を制御している遺伝子はサーチュイン遺伝子と呼ばれています。サーチュイン遺伝子は老化を防ぎ、寿命に関わっていると考えられています
1999年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)のレオナルド・ギャランティ教授が新たに発見したことによって、老化の研究が飛躍的に進化しました。
老化の原因はたくさんありますが、サーチュイン遺伝子は老化そのものを調節している「老化の調整役」なのではないかといわれています。
ギャランティ教授の実験によると、サーチュイン遺伝子は細胞を修復するたんぱく質の活性化をおこなっていると考えられています。また細胞が活動するために必要なエネルギーを作り出すミトコンドリアを制御することで、生命維持に必要なエネルギー量の調節などの役割も果たしていると考えられています。
さらに、染色体の末端についているテロメアを保護し、短くなるのを防いでいることがわかりました。テロメアは染色体を守るキャップのようなものですが、細胞分裂が行われるたびに短くなります。テロメアがなくなると染色体を守ることができなくなり細胞が本来の機能を果たせなくなってしまいます。